LIFESPAN(ライフスパン)老いなき世界の要約、まとめ

LIFESPAN(ライフスパン)老いなき世界の要約、まとめ

少し前にSNSでNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)というサプリメントを知りました。LIFESPAN(デビッド・A・シンクレア (著), マシュー・D・ラプラント (著), 梶山 あゆみ (翻訳)、東洋経済新報社、2020年)という本に書かれていて、それがトリガーになってそうな感があったので、本を読んでみることに。

本はドキュメンタリー映画のような形で進むので、ストリーとして面白いと感じることはあるものの、「老いなき世界」というのはなんなのか? どうやったら老化を防げるのか? ということを知りたいと思うと冗長な感じがあります。

しかも、500ページ近くあります。全部読もうとすると時間がかかりそうなので、老化を防ぐには? ということが分かる序盤と中盤までを要約してまとめます。

内容としてはこんな感じです。

  • 老化とは?
  • 老化を防ぐには?
  • 老化を防ぐ方法(食事や運動など)
  • 老化を防ぐ方法(薬やサプリメントなど。NMNについても)
  • 著者が実践していること

まだまだ検証不足なのは著者も当然ながら認めているものの、研究を続けている感触としては老化は防げるだろうという考えのようです。

そもそも老化とは?

老化は、老化の典型的な特徴が組み合わさった結果。それが本に書かれている老化の捉え方です。

典型的な特徴というのは具体的にはこちら(P61より)。

  • DNAの損傷によってゲノムが不安定になる
  • 染色体の末端を保護するテロメア(特徴的な反復配列を増すDNAとタンパク質からなる複合体)が短くなる
  • 遺伝子スイッチのオンオフを調整するエピゲノム(後出)が変化する
  • タンパク質の正常な働き(これを恒常性という)が失われる
  • 代謝の変化によって、栄養状態の関知メカニズムがうまく調整できなくなる
  • ミトコンドリアの機能が衰える
  • ゾンビのような老化細胞(増殖することのない細胞)が蓄積して健康な細胞に炎症を起こす
  • 幹細胞が使い尽くされる
  • 細胞間情報伝達が異常をきたして炎症性分子がつくられる

年をとれば、見た目が変わって動きも変わるというのは高齢者を見て我々も感じていることだと思いますが、体の内部に目を向けてもう少し細かく見ると上記のような話になるようです。

老化を防ぐには?

先ほどの老化の典型的な特徴として挙げた項目に対処できれば老化を遅らせることが可能というのが著者の考えです。

といっても、全部に一つひとつ対応しようとすると大変なのはなんとなく想像できると思います。ですが、なんと上記の現象の上流にあたる原因が1つあるんだそうです。

つまり、老化の元となる1つの原因に対処することで老化は防げるし、それは可能と考えているということになります。

老化の原因はエピゲノム情報の劣化

じゃあ、その原因というのはなんなのでしょうか? 答えはエピゲノム情報の劣化。

そのエピゲノム情報の劣化は修復が可能で、修復できれば老化は防げるという話になります。そのためには何をしたら良いのか? それが明らかになってきているというのが著者の考えになります(これがNMNにつながっていきます)。

詳細は後述しますが、大きく2つの方法があります。

1つは運動や食事といった方法で、もう1つは薬やサプリメント(NMN)です。
普通に考えて後者でうまくいくなら、明らかに後者のほうが楽して結果を得られますから、NMNのサプリメントがいいぞという話になるわけです。

ただ、エピゲノム情報と言われてもたいていの人は分からないと思います。自分自身、調べるまでまったく意味不明でしたので、ちょっと補足しておきます。

LIFESPANで老化の鍵を握るとされるエピゲノムとは?

エピゲノムと言われて「そうかエピゲノムか」となる人は自分を含めて多くはないと思います。

名前からして遺伝に関するものという雰囲気は感じ取れるかと思います。実際、そのとおりで遺伝子に関係しています。

となると、遺伝子に関連する用語も知らないと概要も理解しにくいと思いますので、それらを含めて簡単にまとめます。

登場する用語は、「遺伝子」「DNA」「ゲノム」「エピゲノム」です。これらの関係性を知ると理解が深まると思います。

遺伝子とDNAってそもそも何? 何が違うの?

遺伝子とDNAの違いってパッと答えられるでしょうか? 「どちらも遺伝に関係するやつ」くらいのレベルだった私は答えられませんでした笑

遺伝情報がつまった遺伝子の本体がDNAです。DNAはA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)という4つの塩基の組み合わせです。らせん構造をしています。この辺は高校の生物の授業をYouTubeで見ると分かりやすいと思います。

ちなみに「塩基ってなによ?」となる人もいると思いますが、塩基の定義は書いても一般的にはよく分からないと思います(私は分からない……)。たんぱく質とか糖質とかそういうのと同じように塩基というものがあるとでも思っておけばいいかと思います。少なくともLIFESPANで書かれている話を理解する上で正確な定義は知らなくてOKでしょう。

で、ATGCという塩基配列が遺伝情報になるわけですが、それらすべてが遺伝情報とは限りません。DNAには遺伝情報部分とそうでない部分があります。遺伝情報となるDNAの一部(領域)のことを遺伝子と呼びます。DNAの一部が遺伝子という関係です。

ゲノムとDNA、遺伝子の関係は? エピゲノムとゲノムの違いは?

DNAの全情報のことをゲノムと言います。「ヒトゲノム」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これは人間の遺伝情報全部ということになります。

ただ、人間なら全員が同じ遺伝情報かというと当然そんなことはありません。他の生物と比べたら共通部分はかなり多いですが、少しだけ違っています。人それぞれ体の大枠は同じですが、細かく見たら違うわけですから当たり前ですね。

見た目がほとんど同じに見える一卵性双生児ならヒトゲノムは同じになるようです。それでも違う人間ではありますから何かしらの違いがあるわけです。その理由はDNAの塩基配列は同じでも、他の要素か遺伝子の働きを決めているからなんです。

そのDNAの塩基配列を変えることなく遺伝子の働きを決める仕組みをエピジェネティクスといい、その情報の集まりがエピゲノムになります。

まとめると、こうなります。

DNAとは、ATGCという4つの塩基の組み合わせ。遺伝情報が集まったもの。らせん構造をしている。
遺伝子とは、DNAの遺伝情報が記されている部分。
ゲノムとは、DNAの全情報。ヒトゲノムと言ったら人間の遺伝情報全部のこと。
エピゲノムとは、DNAの塩基配列はそのままに遺伝子の働きを決める要素。


※遺伝子、DNA、ゲノム、エピゲノムについての参考ページ
DNAと遺伝子ってどう違うんですか?|理科|苦手解決Q&A|進研ゼミ高校講座|ベネッセコーポレーション

遺伝子・ゲノムとは|おしえて がんゲノム医療|中外製薬

なぜ?なに?エピゲノム|日本医療研究開発機構・革新的先端開発支援事業

3つの長寿遺伝子「サーチュイン」「TOR(mTOR)」「AMPK」の動きを制御することで老化防止に

サーチュインという長寿遺伝子と呼ばれる遺伝子があります。今のところサーチュインは7種類見つかっています。

サーチュイン以外にも2つの長寿遺伝子が見つかっていて、それぞれ「TOR(哺乳類の場合は mammal の m をつけて mTOR と言われます)」「AMPK」と呼ばれます。

それらの長寿遺伝子はDNAの損傷の修復、老化細胞によって引き起こされた炎症の軽減、古いタンパク質の分解など、細胞を修復するように働きます。それが老化を防ぐ鍵になると本にはあります。

それら3つの長寿遺伝子、サーチュイン、TOR(mTOR)、AMPKを人為的に動きを調節できる方法がかなり分かってきています。その方法は生体にストレスをかけることです。

ただ、重要なのは適度なストレスであること。そうすれば修復のシステムが動き出して老化防止につながります。過度なストレスは害にしかならないので、「適度な」というのが重要。どの程度ならいいのかを明確にするのは難しいとは思いますが、例えば、タバコや放射線を浴びることは過度なストレスの例として挙がっています。

健康に長生きする秘訣

健康に長生きする秘訣として食事や運動、その他の方法が書かれています。

LIFESPANで書かれている健康に長生きする食事の秘訣(間欠的断食)

健康に長生きする秘訣の1つはカロリー制限。マウスやショウジョウバエなどで実験されていて人間の場合にも当てはまると言える研究がなされています。

気になる人はこちらの英語の論文をどうぞ(本の巻末に書かれたのを参考資料です)。

Calorie restriction and aging: review of the literature and implications for studies in humans | The American Journal of Clinical Nutrition | Oxford Academic

Change in the Rate of Biological Aging in Response to Caloric Restriction: CALERIE Biobank Analysis | The Journals of Gerontology: Series A | Oxford Academic

カロリー制限といっても常日頃から制限していたら大変なわけで、なんのためにやっているんだ? となりそうです。

ただ、月に5日だけカロリーを大幅制限したところ、体重の減少、体脂肪の減少、血圧の減少などの健康効果が見られたそうです。IGF-1(インスリン様成長因子-1)というホルモンの濃度が下がったという結果も。IGF-1値は長寿との関係が強く、個人の寿命を正確に予測するのにも使えるほどという意見もあるホルモンです。

ということで、一時的に食事制限をするだけでも健康に長生きするための効果が得られると考えられていてます(間欠的断食)。

LIFESPANで書かれている健康に長生きする食事の秘訣(アミノ酸)

食事関係でもう1つ書かれているのがアミノ酸の摂取を控えると長寿になるかもという話。

理屈としてはアミノ酸不足によって mTOR の働きが抑制されるため。mTORが働かないようになると細胞は分裂に使うエネルギーを減らして損傷したタンパク質などを再利用します。これが長寿のポイントと著者が考えていることになります。

対象となる具体的な必須アミノ酸はメチオニン、アルギニン、バリン、ロイシン、イソロイシンが挙げられています。

といっても、これらを毎日注意深くチェックしていたら面倒極まりないように思いますので、どうするかはその人次第でしょうね。

LIFESPANで書かれている健康に長生きする運動

運動関係では、HIIT(タバタプロトコル)というけっこうキツい運動が効果ありでは? ということで紹介されています。かなりハードな運動ですが、1回4分で済みますので短時間でできます。

運動をするとテロメア(DNAの分解や修復から染色体を保護し、物理的および遺伝的な安定性を保つ働きをする)が長いままで、これも適度なストレスが体にかかるからと考えられるそうです。

※HIITに関する参考(P192)
Enhanced Protein Translation Underlies Improved Metabolic and Physical Adaptations to Different Exercise Training Modes in Young and Old Humans: Cell Metabolism” target=”_blank”>Enhanced Protein Translation Underlies Improved Metabolic and Physical Adaptations to Different Exercise Training Modes in Young and Old Humans: Cell Metabolism

LIFESPANで書かれている健康に長生きする方法(寒暖差)

寒さや熱に身をさらしても効果があるのでは? ということでサウナと水風呂についても触れられています。こちらのサウナの記事でも紹介した本にも書かれている研究が紹介されています。

「医者が教えるサウナの教科書」要約・まとめ、効果的なサウナの入り方がわかります

まさにサウナの教科書といったところ。全部が全部ではないにしても、医学的な見地から書かれている点が素晴らしいなと思います。サウナの入り方というノウハウ的な話はこんなことが書かれています。本の内容を踏まえて自分なりに考えたやり方もまとめます。サウナで座る位置で何がどうか変わるかサウナの種類(高温ドライ、低温ウェット、フィン

老化を防ぐ方法(薬やサプリメントなど。NMNについても)

長寿遺伝子の1つにサーチュインという遺伝子があります。

サーチュインの活動を高めるのがNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という物質です。

そのNADを増やすとされるのがNR(ニコチンアミドリボシド)とNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)です。

体内にNRが入ると、NMNになり、やがてNADになるという動きになります。

NMNがいいという根拠としてあげられる研究は、2011年に今井真一郎氏が、NMNがNAD濃度を回復させることで、高齢マウスの2型糖尿病のいくつかの症状を治療できることを示したという研究です。(P239)

また、著者の研究室のメンバーが、その後、高齢マウスにNMNの注射を1週間続けたところ、ミトコンドリアが若いマウスのものと比べて遜色なく機能するようになることを見出しました。

他にも著者の研究室でNMNが高齢マウスの持久力、平衡感覚、協調運動能力、俊敏さ、体力、記憶力の向上に役立つことも判明しています。

NMNの話が続きましたが、NRはどうなんでしょうか?

240ページにはNRはマウスの寿命を伸ばすことが実証されているものの、安定度はNMNのほうが良いとあります。また、マウスの実験ではNRでは見られなかった効果がNMNでは見られたとのこと(具体的になんなのかは不明ですが)。

ということで、著者はNMNについて研究を進めていて、実際にサプリメントを摂取してもいます。

NMNを生産する乳酸菌を静岡大が発見で大量生産に希望?

NMNを生産する乳酸菌が静岡大学と大阪ソーダの共同研究によって発見されたということで追記(2021年4月16日)。

若返り化合物「NMN」を生産する乳酸菌を静岡大が発見、大量生産に前進 | TECH+マイナビニュースマイナビ

静岡大学は4月15日、若返り効果で注目されている化合物「ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)」を生産する乳酸菌を発見したと発表した。

すぐに大量生産とまではいかないものの、うまくいけば普通のサプリメントと同じように安価で手に入れられる未来があるかも。

LIFESPANの著者が実践していること

LIFESPANの著者が何を実践しているのかが本の最後に書かれています。

もちろん、著者のやっていることが他の人に合うかどうかは分かりませんし、適しているかも分かりません。また、人に対して臨床試験はしているものの、長期的に見て本当に効果があるのか、害がないのか、ということについては現時点(本を書いた時点)ではまだ不明です。

  • NMN1グラム(1000ミリグラム)、レスベラトロール1グラム(自家製ヨーグルトに振り入れて混ぜる)、およびメトホルミン1グラムを毎朝摂取する。
  • ビタミンDおよび、K2の1日推奨量を摂取し、83ミリグラムのアスピリンを服用する。
  • 砂糖、パン、パスタの摂取量をできるだけ少なくする。デザートを食べるのは40歳でやめたが、こっそり味見することはある。
  • 1日のどれか1食を抜くか、少なくともごく少量に抑えるようにする。スケジュールが詰まっているおかげで、たいていは昼食を食べ損なっている。
  • 数か月に一度、専門家が自宅にやって来て私の血液を採取し、それを私は数十個のバイオマーカーについて分析してきた。どれかのマーカーが最適値を外れていたら、食物や運動を通じて修正する。
  • 毎日できるだけ歩くことを心掛け、上の階に行く際には階段を使うようにしている。週末はほとんど毎週、下の息子ベンと一緒にジムに行く。ジムではバーベルを挙げ、少しジギングをし、サウナでしばらく過ごしてから、氷のように冷たい水風呂に漬かっている
  • 植物をたくさん摂取し、ほかの哺乳類を口にするのはなるべく避けるようにしている(おいしいのはわかっているのだが)。運動したときには肉を食べる
  • タバコは吸わない。電子連枝にかけたプラスチックや、過度な紫外線や、レントゲンやCTスキャンを避けるようにしている。
  • 日中と就寝時は、涼しい場所にいるようにしている
  • 健康寿命を延ばすうえで最適の範囲内にBMI(体重[キログラム]を身長[メートル]の2乗で割った数値)を保つことを目指している。私の場合はそれが23〜25である。

※P474からP476まで引用。

まとめ

ということで、LIFESPANに書かれている老化とは? という話から老化を防ぐ方法をまとめてみました。

一時的に飢餓に近いような状態になるように食事を制限することで、長寿遺伝子が老化を防ぐ方法に働くと考えられる。

タバコの煙や放射線などにできるだけ体をさらさない。

NMNを摂取することで長寿遺伝子が老化を防ぐ方向に働くようになると考えられる

なので、NMNを摂取しなくても、食事や運動などによっても老化を防ぐ効果は期待できるということになります。

もちろん、NMNを摂取しつつ運動したり食事制限したりという著者のやっていることと同じようにしたらより良い結果が期待できるとは思います。

NMNも著者やそのまわりでは効果ありで害もないようですが、まだまだ検証が必要な段階というのは最初にも書いたとおりで著者もそう言っています。

本の内容のエビデンスが確かなものとなったらどんな未来が待っているのか興味深いところです。

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